本気でスポーツをしていると相手の選手とぶつかってしまったり、予想外の動きに付いて行けず転倒と言う事も少なくないと思います。人間や、フェンスや柱などに誤ってぶつかってしまい怪我をする事を一般的には「打撲」と言われています。また、「打撲」をして、皮下(皮膚の下)に筋断裂を認めるものを「挫傷」普通は「肉離れ」と言います。
「肉離れ」は触診(指先の感覚で診察する方法)か、エコーで診て行く方法が一般的だと思います。ですが、近年は「触診」を習得する機会が殆ど無くなっています。エコーを置いている院も多くはありませんので、多くの先生は状況判断により「肉離れ」と言う診断をしているのが現状です。(ps レントゲンでは写りませんし、MRIでも、かなり大きな断裂が無いとはっきりとは分からないものと思います。)
私どもの年代でも「触診」がしっかりと出来る有資格者は少数派です。私が指導を受けた先生は、当時の若手達(私を含む)に「触診」を教えると言うより、理解出来る人を、引き抜くと言う方法を取っていました。これは、実際に「肉離れ」を起こしている患者さんを私たちに診せ、何処で切れているか?を確認させるテスト(試験)のようなものでした。「中山、何処で断裂しているか分かるか?」先生が言われるので、最初は恐る恐る触って行くのですが、運よく断裂面を確認出来たので、「ここです。」と指で軽く押しあてますと、嬉しそうな顔で「そうだ、そこだ。」と言ってくれたのを思い出します。
そんな事が5~6回続いたのですが、その時 先生が言われるには「中山、お前 本当に分かるようだな。」と言われたんです。そして、「これから、打撲 肉離れはお前が確認しろ。」と言われました。その先生が言われるには、「我々のやる触診は、誰でも出来るものでは無い、しっかりと教えてやってもそれなりに出来るようになる奴は5~6人に一人ぐらいだし、本当に出来る奴は教えなくとも最初から出来るものだ。」とよく言われていたのを思い出します。
幸いその先生に認められ、自信を持って施術に励んでいた当時の私でしたね^^。その先生は既に故人ですが、私の恩人に変わりはありません。非常にお世話になり、親以上に有り難い存在でありました。人は出会いで進化して行くと良く言われますが私にとってこの先生はそんな人だったんでしょう。今思い出しても有難いです。
