本日は土曜日、私どもの院では月曜日と並んで新規の患者さんが多い日です。今日も師走の寒い中、患者さん方が来院されました。私どもの院では、どうしても野球関係のお子さんが多く来てくれる傾向があります。特に中学硬式野球であるシニアリーグやボーイズリーグの患者さんが多い事が特徴です。今年に入りコロナが第五類に移行になってからは練習も試合も通常となり、一時殆どスポーツ系のお子さんが来てくれなかった時期がありましたが、今は随分戻って来てくれた感が強くありますね。
ただ、最近の傾向としましては、「肘が痛くて投球出来ない。」とか「腰が痛くてスイング出来ない。」と言った事を訴えて来る方がやはり最も多いのですが、「痛くはないんだけど、なんだか肩に違和感がある。」とか「何だか投げ方が変だから一度診てもらって来い。って監督に言われた。」と言った方が本当に増えましたね。つまり、治療と言うより「メンテナンス」の為に来院される患者さんが多くなったと言う事です。
野球に限らずとも「野球肘」などを始めとして、オーバーユースによる影響のため起きる痛みや症状を「スポーツ障害」と言います。小学生や中学生が発症します、「オスグッド」なんかもこれらの仲間に入ります。「スポーツ障害」は一度発症してしまうとなかなか治りません。それどころか「治らない。」と言い切ってしまう先生さえ存在します。
簡単に「スポーツ障害」を説明しますと、最初は「筋肉痛」から始まるものなんです。でも、まさか筋肉痛が元で「野球肘」になるなんて誰も思いませんので、最初は放置される場合が殆どです。そして、怖いのがそのままにしていると、筋肉痛が只の筋肉痛ではなくなると言う事なんです。「筋肉痛」の場合は筋に幾分でも「緩み」があるものなのですが、これが次のステップに進むと筋肉の弾力は失われます。筋肉は関節のショックアブソーバーの働きも多大にありますので、これが無くなると衝撃が関節面に直接及ぶこととなります。これが「野球肘」のメカニズムです。基本的に硬くなった筋肉を緩める事が出来れば理論上は治す事が出来ますが、一度硬化した筋肉は仮に一日中マッサージをしていても治る事はありません。治すには、少しばかり特殊な手立てが必要になります。
話が長くなりましたが、私が言いたいことははっきりとした症状が出る前に手を打った方が治りが極端に良いと言う事です。一度はっきりとした症状が出てしまうとそれはかなり進行している事を意味します。痛みはないけど「張っている感じ。」とか「違和感がある。」と言うときは、そこまで進んでおりませんので、私の所でなくとも大抵の所で治ると思います。一度はっきりとした症状が出てしまいますと、治るまでにはそれなりの時間が掛かります。ですが、「少し変だ。」位なら、心得のある先生ならしっかりと治してくれるものと思います。最近「メンテナンス」で来院される方が多くなったのは非常に良い事だと思います。