最近は「膝の痛み」で来院される患者さんが非常に多くなっています。この「膝」と言う部位は、整形外科的疾患の中でも、診察、治療共々最も難しいと言われる部位でもあり、私も施術を行う度その通りだと痛感しながら施術を行っております。
人によっては「腰の方が難しい。」と言う先生もいらっしゃいますが、私は「膝」の方が数段難しいと思っています。「膝」は片足でも全体重が乗る部位でもあり、そして、最も大きく関節が動きます。年齢によっては変形が出たり、半月板が損傷しているかも知れません。水が溜まったり、炎症を起こす事もあるでしょう。膝と連絡するかなりの数の筋肉は複雑に絡み合い、この筋肉のチェックだけでもかなり大変なものです。痛みがあっても歩かない事には、お風呂にも、お手洗いにも行けません。治す事自体の難易度が非常に高い部位と言って良いと思います。
ただ、現代の「膝」の痛みは、特別な事をしていないのであれば「筋肉性」のものと捉えて基本的には間違いないと私どもは考えています。仮に整形外科さん等でレントゲンやMRIを撮って貰い「変形性のものですね。」と診断されているとしても、余り嘆く事は無いと思います。私も毎日「膝」を診ておりますが、かれこれ10年以上「本当に変形している患者さんは診た事がありません。」患者さんが持参してくれる映像を拝見しても、そう言われれば、ほんの少しの変形があるのかな?と言った程度であり大勢に影響があととは到底思えない患者さんが殆どです。「膝」は加齢と共に少しは減って行くものです。それを変形と診るか、生理的と診るかは先生によりけりですね。
私どもの院では、変形が無い、または、本当に僅かな場合は基本的に関連した「筋肉」を調べて行く事にしています。中には関節付近に「骨膜炎」が確認出来る患者さんもいらっしゃいますが、それが無い場合は、「筋肉」を疑う事が常です。「膝痛」は何回か診せて貰っていると、意外な筋肉が関与していたりする場合も珍しくなく、これも「膝」の診断や施術を難しくする一因になっています。現在見ている患者さんの中にも、全く正反対の動きをする筋肉を施術する事で、痛みが消える事例もあり、本当に「膝」の施術に関しましては、慎重に、そして大胆に行わなくてはならないと強く感じています。
