マッサージでは治らないもの

 「腰痛」と、一言で済ましてしまうのは、範囲が広すぎて非常に危険なものですが、「あちこち受診したけど一向に良くならなかったよ。」と言われる方がやっぱり多いようです。

 「そこの院では何だと診断されましたか?」と訊きますと、「特別病名は言われなかったね。」と言うケースがこれまた多いものです。受診した後のリハビリでは大抵マッサージを受けるものと思われますが、症例により対処方法が異なりますので、マッサージをやっても効果が期待出来ない場合もあるものです。

 筋肉性の「腰痛」であれば、マッサージは有効と思われますが、腸骨骨膜炎や仙腸関節由来の痛みの場合は、マッサージの効果は全く期待出来ないものです。不思議と最近の腰痛は筋肉性のものより骨的なものの方が圧倒的に多いですから、効果的な施術を行うにはマッサージとは違った方法でやって行かなくてはなりません。

 私がまだ駆け出しのころは、何と言ってもマッサージが施術の基本であり、これ以上の効果的な施術方法は無いとされており、この方法を磨き、極めて行くのが治療家の道。と言った考え方が、学会中を跋扈していた時代でした。現代ではそういった事を主張する先生はかなり減りました。もっと効率のいい方法も出てきましたからね。

 私も若くはありませんので、マッサージを極める事を道としてきた治療家の一人だったんですが、現在は「マイクロカレント」(微弱電流治療器)を使用した治療を展開して好結果を得ています。私どもの世界である「柔道整復師」という治療家の集団は伝統的な文化(治療法)と呼ばれる事も少なくないですが、本当に腕の利く方々は新しい技術や、新型の治療器に常日頃から目を凝らしているもので、研究熱心な方が多いものです。