怖い「外側型」野球肘

 小学校や中学校で⚾野球をやっていますと「野球肘」になるお子さんが何人かいると思います。「野球肘」は「内側型」と「外側型」そして「後方型」がありますが、殆どの場合「内側型」です。「内側型」は、かなり症状が進行していても何とかなると思います。実際 当院では大抵は何とかなっていますし自信もあります。ただし、外側型となると話は全く違って来ます。外側型は野球肘の中でも少数派になります。多くても1割 文献では5%と書いているものもありますが、大体その程度と思われます。

 一般的に「野球肘」と呼ばれるものは「内側型」で、筋肉性のものです。これは整形外科学会のHPにもそのように記載がありますし、私もそう思っております。「外側型」は一見しますと初期は「テニス肘」のようにも見えます。ですが実際は骨の変形を伴うもので(離断性骨軟骨炎や変形性肘関節症)、予後が良くないのが特徴になります。

 同じ「野球肘」とは呼ばれていますが、「内側型」と「外側型」では全くの別物とお考え下さい。「内側型」は私どもの院でも対応出来ますが、「外側型」はオペの必要性が、かなり高まりますので、専門の先生に早期に診て貰う必要があります。そして、「内側型」はボールを投げながらでも何とかなりますが、「外側型」は直ちに投球を止めて下さい。投げれば投げる程 悪い方向に行ってしまいます。

 私どもの院にも年間何人かは「外側型」のお子さんがお見えになりますが、「野球肘」専門の先生の在籍する大きな病院に行って貰うようにしています。「外側型」は非常に怖い疾病です。

PS 「後方型」は基本的に「内側型」と同じスタンスでお考えになって問題ないと思います。私は上腕三頭筋が強く関与しているものと思っています。