「ヘルニア」や「狭窄症」と言われても

 昨日来てくれた患者さんは自称ヘルニア持ちの患者さん。「MRIでヘルニアの確定診断を受けています。整形外科の先生には、後はオペしかないね。と、言われているのですが、手術は嫌で色んな所に行きましたが、やはり何処に行っても良くならなくて、友人にここなら何とかなるかも?と言われ、来てみました。」と言う事でした。

 実はこういうヘルニア持ちの方、かなりいらっしゃいます。そして、「ヘルニアのオペをしたけど、良くならなかった。」と言う方が来院される事も、珍しくありません。ヘルニアだけでなく「脊柱管狭窄症があるんですが大丈夫でしょうか?」と言う方もいらっしゃいますよ。「オペ」をすれば良くなるとお考えの方が多いですが、実際はそれ程でもないのが現実だと思います。また、理論通りの手術をしても、一向に良くならない場合が多いのは、その腰痛の原因がヘルニアや脊柱管狭窄症では無いと言った証明になっているのは、皮肉としか言いようがありません。

 実際、MRIで自分のヘルニアや脊柱管狭窄症の映像を見るとその酷さに、絶望的な感じになってしまう方が多いものですが、本当の所 あまり心配する必要はありません。MRIの映像はどうしてもデフォルメ(誇張)されるため、大げさに見えるものです。そして、意外と思うかもしれませんが、ヘルニアや狭窄症があったとしても、それがあなたの腰痛に関与している可能性はそれほど高くないと言う事です。

 ヘルニアや狭窄症と診断された患者さんの多くは、驚く程それらの疾病の特徴を持ち合わせていない方が多いものなんです。実際は筋肉性のものや、神経性のもの、あとは骨膜炎系の「腰痛」だったという方が多いものです。先ずはオーソドックスな「腰痛」として対応した方が結果が良い場合が多いです。ヘルニアや狭窄症は、「腰痛」とは違った経緯で見つかるケースも多く、ヘルニアや狭窄症だからと言って必ず腰が痛くなるものでもありません。これらの症例は、専門家でも意見が異なったり、未だにハッキリしたことは分かっていないケースも多いですから、一人の先生だけに頼るのも間違いではありませんが、「セカンドオピニオン」を行ったりすることをお勧めしたいと思います。